当社の製品である飲料の飲用機会には、主に即時消費と家庭内消費があります。2020年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により人出が大幅に減少したことから、当社は、ベンディングやコンビニエンスストアといった即時消費のチャネルにおいて大打撃を受けました。飲食店等の営業時間短縮等の感染防止策により、リテール・フードサービスチャネルにおいても数量は大きく減少いたしました。また、総需要の大幅減を背景とした競争激化が当社の収益状況に大きく影響を及ぼしました。2020年は1,000億円を超える売上収益を失う結果となり、2021年においても、長きにわたる緊急事態宣言等の影響により、数量は前年から若干回復したものの、売上収益は微減となりました。 当社は、このようなたいへん厳しい事業環境において、ビジネスを「守る」ことに注力しながらも、市場が安定化して以降 コロナ禍において推し進めてきた当社の取り組みの成果は、着実に表れてきています。イノベーションの一環として投入した「ファンタプレミアム」「コスタコーヒー」「やかんの麦茶 from 一(はじめ)」「綾鷹カフェ」「よわない檸檬堂」などの新製品はお客さまから高い評価をいただき、数量成長への貢献を果たしています。また、収益性の高いベンディングチャネルでは、37ヵ月連続で金額シェアが対前年プラスとなる(2022年4月時点)など、需要を捉えて成長につなげる基盤が整ってきていると感じています。実際に、2021年のベンディングの販売数量は、緊急事態宣言が解除され人出が戻ってきたタイミングにおいて力強い成長を示してきました。 また、レジリエントな事業基盤の構築に向け進めてきた変革の取り組みにより、ビジネスの基盤をより強固なものにするとともに、2年間で固定費を中心とした200億円以上の経常的コストを削減いたしました。 飲料業界を取り巻く環境は厳しさが継続しており、消費者の行動変化に起因するチャネル・パッケージへの影響、競争環境の激化など、収益性の観点での事業環境の厳しさは、当社のビジネスにも大きく影響を及ぼしています。これに加え、足元の原材料・資材・原油等の世界的な価格高騰や円安など、対応が必要な新たな課題に直面しています。 そのようななか、当社は、収益基盤の強化に向け、適正な価格設定と適正水準でのプロモーション実施に取り組む方針を掲げております。その一環として、2022年5月に大型PETに持続的な成長を果たしていけるよう成長基盤の構築や変革の推進に取り組んでまいりました。2020年にはあらゆる分野でコストを極限まで削減し、未曽有の事態に対処してまいりました。2021年も引き続き厳しい環境下ではありましたが、短期的なコストコントロールを一定程度継続しながらも、中長期の成長につながるマーケティング投資や人財投資を適正な水準に戻すなど、先を見据えた活動にも取り組んでまいりました。また、これらの期間を通じて、当社は、家庭内消費需要の取り込みなどコロナ禍における成長機会を捉えた活動を徹底するとともに、コントロール可能な分野に注力するという考えのもと、市場シェアの基盤を強化するための取り組みや固定費負担の大きいビジネスモデルの抜本的な変革を、緩めることなく推し進めてまいりました。 ベンディングのオペレーションモデルの変革や、製造キャパシティの拡大、メガDC(ディストリビューションセンター)の立ち上げとその活用による物流ネットワークの再編、サプライチェーン領域やバックオフィス部門の体制のスリム化、業務プロセス標準化、デジタル化推進など、あらゆる分野で「これまでのやり方は選択肢にない」との考えのもと、変革に取り組んでまいりました。 すでに発現しているコスト削減効果のみならず、これらの成果は、当社が持続的な成長を果たすうえで、重要な基盤になるものと確信しております。 2022年3月にまん延防止等重点措置が解除され、人出は回復傾向にあります。当社の第1四半期の販売数量は前年比4%となり、市場成長を上回る数量成長を実現できているとみています。厳しい環境下においても力を注いできた取り組みの成果が、少しずつではありますが、表れてきているものと考えております。ボトル製品の出荷価格の改定を行うことを業界に先駆け決断・実行いたしました。また、6月には、10月1日出荷分より小型パッケージ製品等のメーカー希望小売価格を改定することを公表しております。 消費者やカスタマーのみなさまにご理解いただけるよう丁寧なコミュニケーションに努めるとともに、当社が収益基盤を立て直すことにより、今後ますます付加価値の高い製品や魅力的なプロモーション等をご提供できるよう努めてまいります。マネジメントが語る価値創造ストーリートップメッセージ0404厳しい事業環境下におけるビジネスの舵取り取り組みの成果は表れてきている中長期の持続的な成長に向け、さらなるアクションが必要
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